劇場版 空の境界 未来福音

 暫く前になるが、ようやく、未来福音を見てきた。空の境界は劇場で見るのは初めて。今までの続編と言うこともあるからか、二部構成で、最初の方と後の方はあまり関係ない話だった。最初の方は、今までの話のちょっとした後日譚で、後の方の本編は、全体の、締めくくりみたいなパートでもある。クオリティーも高く、ストーリーの方は大体原作に忠実である。
 やはり、80年代の雰囲気を引き摺った90年代というのは意図して描かれているのだろう。2010年のパートでは、伽藍の堂は、橙子ではなく別の人が使っているが、モダンなオフィス風になっていて、驚いた。橙子の伽藍の堂は、90年代末だというのに、PCはどうもない様で、紙の書類だらけで古めの雰囲気なのと、対照させている。パンフレットでも、わざわざ、解説している位なので、相当に自覚的なのだろう。
 もう一つ、占い師の話は面白かった。ある意味、良くあるタイプの話で、占いがあまり流行らなくなった理由として、明るい未来が見えなくなったという話が出てくるが、ここら辺はある意味では、ゼロ年代以降を反映しているのだろう。ただ、パンフレットの原作者インタビューだと、自然にそうなったと言うことでテーマではないと言っていたりするのだが、現実を反映している点は認めている。
 未来福音を見ていて思ったのだが、断絶とか切れ目が90年代に入ってからではなくて、90年代とゼロ年代の間に想定されていると言うことだった。何となくの考えだと、バブル崩壊で90年代になると、それまでとは違うという意識が強いけど、文化とか生活と言ったレベルだと、振り返ると、やはり90年代は80年代の続きと言った方が良い気がする。もちろん、経済面だったら、バブル崩壊は非常に大きいとは思うけど。